「うん、でも甘かったな。季節は時間が経てば過ぎ去っててゆくものだけれど、そういうものでもなかったみたい。ずっと今もその季節の中から抜けられないんだよね」
しんみりしたあとに、ふたりだけで乾杯した。
グラスにホッピーを注ぐときジョウさんがぽつりといった。
「このまぜるっていうの。しぜんにまざりあってゆくっていいよね」
その後の言葉は繋がなかったけれど、あの日の4人はほんとうに短くも濃く混ざり合っていたような気がする。
ふいに美潮さんも家出したまま今日もどこかで飲んでるかなって思った。
ホッピーが喉を通る時、みんなとすごした日々がよみがえってくるようだっ
た。ホッピーが、ふいに身体のすみずみにまで染みわたってゆく、季節の栞みたいに。