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『待つ時間』宮原はる


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「まずまずだな」
「そうだな」
「交代の時間何時だっけ?」
「14時」
「腹減ったから出店でなんか買おうぜ」
「うん。篠原も行くだろ?」
『行こうかな』
「よし。たこ焼き食いたい」
「余計に腹減るから言うなよ」
「もう胃はたこ焼きなんだよ」
「知るか」
 文化祭1日目の昼過ぎ。入口で後輩が一人、展示室に入った人数を集計、案内しており、自分たち同級生の3人は出口の長机の後ろにパイプ椅子を仲良く3つ並べてアンケートを回収していた。学年ごとにテーマを分けて展示しており、入った人はそれなりの時間を掛けて見ていってくれる。たまに部員の友人らしき人は知人の写真だけを見に来て、後はさーっと流し見していくこともある。他人が撮った写真を楽しむ方法なんて人それぞれだし、それでいいと思っている。部のカメラをいじりながら二人の会話を聞いていると、3年の先輩が戻ってきた。
「腹減っただろ?交代するよ」
「でもまだ時間前ですし」
「いいっていいって。それに実を言うと、人が多くてちょっと疲れたんだ。すぐに部長も来るし、任せておけ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 『ありがとうございます』
 「おう」
 運動部に比べたら活動日は不定期で緩い部活。それでも上下関係はしっかりしている方。誰かが決めたとか、先輩が強要しているとかそういう訳ではない。ただ自然と入った時からそうなっていた。この部が持っている空気感なのかは分からないけど。とりあえず二人についていき、外の出店を目指して歩いた。秋風が体を通り抜けて、カーディガンを着てきてよかったと思う。自分たちの展示室とは全く違う人口密度の中、人ごみに揉まれていたらすっかり時間を食ってしまった。目的のたこ焼きや他の軽食で胃袋を満たした後、一人が彼女のクラスの出し物に行くと言い出し、もう一人がついていくと言ったので自分は人ごみに疲れたから先に展示室に戻ると言って別れた。先ほどの先輩が人ごみにやられたのも無理はないと思う。元々自分もあまり人が多いところを好まないのもあるかもしれないが。
 『お疲れ様です』
 「戻るの早いな。もっとゆっくり楽しんでくればいいのに」
 『人混みに疲れました』
 「だよな」
 『アンケート増えましたね』

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