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『待つ時間』宮原はる


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 「隣のクラスでやってる演劇の時間前と後に人が押し寄せて来たんだよ」
 『なるほど』
 空いているパイプ椅子に座り回収したアンケートをぱらぱらと捲る。展示した写真一枚一枚にそれぞれ番号が振られており、印象に残ったもの、物足りないと思ったもの、共感したもの、などあらゆる項目に番号を書けるようになっていた。部員は自分の番号を勿論覚えており、アンケートに自分の番号があれば目に留まる。自分も間違いなくその一人で、一枚見つけたのだ。共感したもの、に自分の写真の番号が振られていた。下の自由記載欄にもコメントがあり、目を通した瞬間、周りの雑音が一瞬止んだ。
 2年生のテーマは〈幸せ〉。自分が撮った写真は食卓だった。いつもの定位置に座り、目の前に二人分の食事。前の席は空いていて、その席に座る人物を【待つ時間】。何枚か写真は撮ってみたけど、結局借りたカメラでこっそり撮ったその写真を最終的に展示することにした。一番大切なのはそれだったから。

[私も家族が待ってくれている家に帰る時間、ドアを開ける時間、椅子に座っている後ろ姿を見つけたその瞬間、たまらなく幸せになります。
今日はいつもと逆で、待っているのであまり遅くなりすぎないでね]

 久しぶりに見たその手書きの字を思い出しながら下校する時間、古びた駐輪場を横に階段を駆け上がる時間、鍵を差し込んだら部屋の明かりがついていて、おかえり、という声が鼓膜に響いたその瞬間。

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