ひいばあちゃんの気が変わらないうちに、とすかさず、お父さんが言う。
「そうそう、私は植木の世話なんてしたことないから、おばあさんに頑張ってもらわないと」
これは、お母さん。最後に千果は、
「あのね、わたしもお手伝いするからね!」
「まあ、ありがたいわね。何だか、元気が出てくるようだわ」
そう言うと、ひいばあちゃんは腕まくりをして重たい鉢をひょいと持ち上げた。そして、みんなが驚く中、それをせっせとベランダへ運び出す。
「何だか、すごく元気になったね」
慌てて小さな鉢を持ち上げ、ひいばあちゃんの後ろ姿を追いかけながら、千果がお母さんの耳打ちする。
「本当ね。千果のおかげね」
「そうだな、よく思いついた」
両親が、口々に千果を褒めてくれる。
「ね、いい考えだって言ったでしょ」
得意がる千果を、一足先にベランダに鉢を置いたひいばあちゃんが振り返り、
「偉いわねえ、お手伝いして。この子は本当にいい子だねえ」
そう言って、優しく褒めてくれたのだった。