そんな計画を立てていたとは。雅男はしばらく苦々しい顔をしていたけど、次第に眉間に皺を寄せたまま笑うという、奇妙な表情を見せた。
「仕方がないか。あの性格は、なんていうか今流行りの、ほらゲームとかで出てくる強い人……若い人がよく使う言葉なんだけど」
何を言っているのかさっぱりわからない。
「ラスボスでしょ」沙耶が面倒臭そうに言う。
「そうそう、それだよ。強い女ばかりの俺の人生でも最強だな。だから、こっちが従うしかない」
「達男は二階?」
「勉強するふりして寝てる。この分じゃ期末もだめだね。あの子も今日、学校振休だったから病院行ったって」
「そうだったの」
「そしたらリハビリ見学に誘われたらしい。おばあちゃん号令かけてリーダーだったよって」やっぱりボスだ。
明るいことばかりではない。考えるほど心細くなる。
だけど一人ではない。最後の梅酒を飲み切って月を見上げると、周子は少し強くなった気がした。