美咲の胸は熱くなり、辛~いカレーは、お腹の中では、甘く感じられた。さっき、雄太君ちで、食べたカレーより、断然おいしい。
「もう、おいしさが分かったよ。今日のカレーが、今までで一番おいしい」美咲は笑顔を作り、「このカレーなら、毎週でもいいよ」といった。
「美咲、無理しなくていいよ。辛いんだろ、涙が出ているじゃないか。気持ちだけでいいよ、ありがとう」おとうさんは目尻にしわを寄せた。
「無理なんかしていないよ。それと……」美咲は、おかあさんとおとうさんの顔を眺めて、「私、私立中学には行きたくないよ。家もここがいい」といった。
おかあさんが美咲の頭を擦って、「大きくなったね」というと、言葉が続かなくなり、上を向いた。
おとうさんが、おかあさんを見ながら、「泣いているの?」と微笑んだ。
おかあさんは瞬きを何度もして、「カレーが辛過ぎるのよ」と微笑んだ。
これから二十五日は「微笑み合戦」になるといいな。
おとうさんの仕事、明日は雄太君に、はっきりいえると思った。