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『チーム・エール』藤亘音


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 リアには最初から徹底的にマークがついていた。それでも直接2点、アシストで1点を獲得する。カズナもボールをキープしようとする。しかしブロックしきれずボールを相手チームに渡しがちになっていた。
 前半終了間際、リアにボールが渡る。
 カズナは素早く、周りを見た。
 リア、相手、自分、相手、相手、ゴール。
 今カズナがいる位置からリアの姿は相手の後ろ姿のせいで確認がよく出来ない。リアの動く方向を予測して、リアの視界に入る位置に駆けた。
 リアがこちらをほんのわずかに見た。次の瞬間、ボールが相手の左側を通り過ぎ、カズナの足下に来ていた。トラップする。
 と同時にリアが、
「パス!」
 叫ぶ。声のしたほうへ反射的に蹴る。
「あ」
 ボールが右に大きく浮かぶ。
 が、それに合わせてリアがヘディングした。ネットが揺れる。
 笛が鳴った。前半終了である。
 50分後、クラブ内対抗試合がすべて終了した。練習の後にはミーティングが行われる。
「前半ラストの得点、カズナ、リア、どうだった」
 コーチが訊く。カズナはそのときを思い出しつつ、
「周りを見たら、リアをサポート出来る位置が左のほうに思えたから、そっちに走りました」
 なるほど、とコーチは頷く。
「周りをよく見る、これは基本だ。けれどもそうとわかっていてもなかなか実行が出来ない、よくやった」
 ありがとうございます、カズナは頭を下げた。
 コーチに促されてリアも感想を伝える。
「相手のデッドゾーンにいない味方を探してたらカズナがいました。それでボールを渡したら、カズナの動きが止まったから、自分でシュートすることにしました。カズナは力むとボールが右に行くから、そっちへ先回りしておきました」
 なるほど、コーチは言い、
「チームメイトのくせも知っているのか。よくがんばっているな」
 はい、とリアは大きな声で言った。
 コーチがチームメイト全員を見つめる。
「周りの状況をよく見よう。いつでもだ。相手も味方も。そしてボールがくる前から、自分が次にどう動くか考える。ボールが自分のところに来てから次の行動を考えているとすれば、ゲームは相手のものとなる」
 はい、とチームメイトが返事をする。と、リアが質問した。

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