『Born to Lose』
広瀬厚氏
【「20」にまつわる物語】
ジョニー・サンダースがドラッグとアルコールのオーバードーズで死亡した20日前に行った、川崎のクラブチッタでのライブを収録した、ライヴ作品が12月20日に日本で発売されるとネットで知った。当時20才だった俺はそのライブのチケットを購入していた。しかし……
『空は青とは限らない』
富田未来
【「20」にまつわる物語】
視力は2・0だが色が見えない、色盲の少女(14)がいた。少女は色盲のせいで学校でいじめにあう。そんな彼女しか見えていない世界と、走った先で彼女が出会う人々、これは夢か現実か、それはもののみかたの角度によって。彼女が少し強くなる話。
『つみのかけら』
もりまりこ
【「20」にまつわる物語】
耳子はひとの話に耳をかたむける仕事をしている。むかし慕っていた年上のひとから<サッドストーン>という石をもらう。その石がいつか砕け散るとき、罪からも解放されるのだと聞いていた。ある日、ずっと抱えていた罪をその石にひとり告げていると。
『二十年後、変わらないもの』
ウダ・タマキ
【「20」にまつわる物語】
小学四年生の夏休み。克樹は東京から隣家の祖父母宅に帰省した康太と出会う。都会からの新しい友達に克樹は喜び、康太もまた、田舎でできた友達との時間を楽しく過ごした。別れの時、二人は二十年後に掘り起こす約束をしてタイムカプセルを埋める。二十年後、克樹は約束の場所を訪れるが……
『カタリベマッチ』
もりまりこ
(『マッチ売りの少女』)【「20」にまつわる物語】
じぶんの笑い声で目覚めたその日。わたしはほとんどの記憶を失くしていたらしい。ただ唯一覚えているのは去年の大晦日の火曜日銀座商店街での派手な男女の喧嘩だけだった。そして男があやつっていたジッポライター。あの炎に近づけば、わたしは飛んでしまった記憶の欠片がみつかりそうな気がしていた。
『芋虫の結末』
和織
(『LA CHRYSALIDE ET LE PAPILLON』ジョルジュ・メリエス)【「20」にまつわる物語】
石川豊野は放課後、いつも一人教室にいる。彼女が僕に見せたのは、古い映画。芋虫が蝶になり美女になり、その美女にフラれ、芋虫になる男の話。蝶が好きな石川は、自分は蝶の生まれ変わりかもしれないという。そんな彼女がある日、昔僕が付き合っていた人の名を口にする。それは、もうこの世にはいない有名女優の名前。
『ブレイキング・フリーキング・ドリーミング・ドール』
糸代芽衣
(『ピーターパンとウェンディ』)
十二センチの尖晶石“スピネル”・ヒール。狂妖精“フリークリスタ”、識別符号=ティンク/本作の主人公。これはただ本能に従って生きた、機械仕掛けの水晶人形達の物語。
『舌(ZETSU)』
不動坊多喜
(『王様の耳はロバの耳』)
父の葬儀のため三十年ぶりに実家に帰った私は、舌をはずされ、新聞紙に幾重にもくるまれた風鈴を見つけた。軒に吊された風鈴は、眠る度に過去に起こった出来事を私に告げる。それは、父が隠し通そうとした真実。私はどうすれば良いのか……。