「かごめかごめ!」
子供たちはみな、踊り疲れて。誰かがどすんと尻餅をつきました。すると、みなつられて。その場にこけました。
心配していた大人たち(とりわけ母親たち)がわっと子どもたちの方へ駆け寄りました。それぞれの母が「大丈夫?」とわが子達をかき抱きました。子供たちは「何が大丈夫」なのだろう? と目をまだ白黒させています。
医師が率いる救急車はその場を後にし、警官隊が念のために現場検分に残りました。警官隊のなかでも一番偉い警官が―彼は警視というのだそうです。ーが「点呼!」と鋭く叫ぶと、子どもたちは、「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十!」と順番に言っていきました。
十人。
あれぇ? これは十人が十一人になる恐ろしい話ではなかったでしたっけぇ?
不思議なことに数があっています。しかし、数があっているならそれはそれでもいいのです。男は霧のようにどこかへと消えました。なぜ消えたかはよくわかりませんが、それは子供たちが一番よく知っているのではないでしょうか?
再び点呼してみると、やはりちょうど十人でした。