小説

『ふたり虹を渡った』もりまりこ(『おむすびころりん』(東北))

そして夢のなかのわたしは、芋虫だったくせになぜか羽を
たたんだり休めたりしながら蝶へと変身する身支度ばかりを
していた。

わたしがそのこでそのこがわたしになったとき。
わたしは、おにぎりをその子にあげていた。
おにぎりはわたしがそのこになれる魔法の食べ物の
ようにそこにあった。

虹をくぐって渡ったそのこになったわたし、わたしになった
その子は、風に舞うように飛ぶ準備をしている。
でも、蝶になるまでの時間って恐ろしく長すぎる。
わたしとそのこはころがるおにぎりを追いかけた
罪と罰のようにそこにいた。

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