小説

『三つの条件』太田純平(『三つの宝』)

 僕も若木も目が点になった。僕は女王にお伺いを立てるような態度で「で、でも、僕たち、顔も、性格も、スタイルも、完璧で――」とぼそぼそ言うと、女王は「別にみんながみんな顔や性格で男を選ぶわけじゃねぇから」とお話しになった。
 呆れたと言わんばかりの態度で階段を下りてゆく女王陛下の背中に、僕は「く、来栖さん!」と最後の力を振り絞って叫んだ。
「さ、最後に教えてください!」
「?」
「仮に、来栖さんが、男に求める、三つの条件をあげるとしたら――」
「色黒、年上、外国人」

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