小説

『ひびわれたゆび』高野由宇(『炭坑節(福岡県民謡)』)

 ほんとに一瞬、そう思ったんだ。
「明日も仕事でしょ? 早く寝なよ」
 月は、遠い。
「私も寝るし」
「――分かった」
「じゃあね」
「また電話するわ」
 ミイは曖昧に答えて電話を切った。
 また月がきれいな夜に、電話をしよう。
 ん、でもそれじゃ毎晩電話することになっちゃうじゃんね。
 そしたらまた怒られる。

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