初めてできたカレシは、手元を見ずにコンドームをつけるヤツだった。
その間、わたしの目をじっと見つめている。
茶が混じった目に、夕暮れの光が差し込んでとても綺麗だった。
わたしの心臓だって高鳴っていた。
「好きだよ」「愛してる」「ずっとぎゅっとしてたい」
タケルは普段物静かで、そういう甘ったるいことはあまり口にしないのに、裸になると流暢に言葉を並べる。
***
「今日はもう帰るわ。また連絡するわ」
「明日はどう?」
「えっととな、明日は部活が忙しいんだよ」タケルはこっちを見ない。「来月、ライブあっからさ」
「うん」
タケルは制服をさっさと着てしまうと、まだ下着しかつけていないわたしを置いて部屋を出て行った。
一度キスしてくれたが。
わたしは少しトロくさいかもしれない。
隣町の高校に通うタケルと会えるのは、週一回程度だ。
タケルは軽音部に所属して、四人組のバンドに所属している。
わたしは友達に誘われて、ライブハウスでその演奏を見た。卒業生を送り出すとかという目的だったらしいが、それは、タケルから後で聞いた話だ。とにかく、ギターとベースの違いもわからない私だったが、気だるそうに演奏をしているタケルの姿に目を奪われた。
ツイッターでフォローして、メッセをやりあって、会うようになった。
大体のことを興味ないって感じでいるが、好きな音楽とかはよく喋る。ヤバTとかバックナンバーとか。
洋楽になると全くついていけない。
タケルが去った部屋でじっと天井を睨む。
肌に張り付いた汗ばんだ感じを不快に思う。
ベッドはぐちゃぐちゃだ。
親が帰って来る前に、片付けないと。
***
「ふぅん」友人の咲は、古着のワンピースの丈を直していた。「タケルくんってなんか苦手かも。……ちょっとチャラくない?」