小説

『野生のヒト』霜月透子(『桃太郎』)

 遠くからイヌとサルの声がする。
「大丈夫かー? いるなら返事しろー!」
 声が近づいてくる。
 私はモモの額を丁寧に髪で覆った。そして、声を張り上げる。
「ここよー! モモが私たちを助けてくれたわ!」

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