小説

『太郎会議』まいずみスミノフ(『桃太郎』)

 この鬼ヶ島への招待はいわば接待の一環だったわけだ。
「どうせそんなところだと思ったわい!」
 腹をたてる桃太郎だったが、プールサイドの女鬼が目ざとく彼を見つけた。そして「桃太郎が来たぞ!」といった。これがひと昔前なら阿鼻叫喚の大騒ぎだったが、今となってはわーきゃーの黄色い声である。あっというまに桃太郎は美しい女鬼たちに囲まれてしまった。
 鬼は巨大な口を釣り上げニッと笑った。
「とりあえず今日は楽しんでいってください」
 そういうと屋敷の奥に消えていった。
 T-1グランプリか。桃太郎は思う。鬼の商魂には呆れる反面、そういう柔軟な発想は自分にはできなかった。何がなんでも話し合いで結論を出す必要はないのだ。
 まあ協力してやるかどうかは今夜のパーティ次第だなと、ギャルの乳に顔を埋めながら桃太郎は思案に耽る。

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