ほらいつか、この国がメガトンスマッシュ級のトルネードのようなものに見舞われて磁場の帯、フォトンベルト的なおぞましいものにみんな吸い込まていった時の人たちが、あそこにいるのかもと思い巡らし、夜の空に静かに語り掛け祈る日々が最近の民たちの夜の過ごし方になっていた。
でもメロスだけは違ってた。俺はぜったいまちがってないのに、みんなのほうがぜったいおかしい、きみたち正義はないのか? わけわからないって、泣きじゃくり眠れない腑に落ちない日々をもやもやしつつ、それでも竹馬の友セリちゃん王の元で日々をやり過ごしていた。
そんなある日メロスの抱えていた我慢がぶち切れた。ビッグバンみたいに爆発して弾けたったみたいに。
そう、悩んだら走る。メロスはふたたび激怒しながら、ひとり、どうして走っているのかもわからないまま、青梅街道を走り抜けていった。