なるほど。そんなことだと思ったよ。いい名前をもらったね、ポンポコサンダー。ハイヤー!
ぼくらは弾丸のように突き進んだ。ポンポコサンダーは疲れを知らなかった。ぼくらは千葉を出て神奈川で夜の箱根をちょっと観光してそれから東京へはいった。
「東京へついたわね」と花子がいった。
「そうだね。そのとおりだ。ぼくたちはいままちがいなく東京にいる」とぼくはいった。「それで、これからどうするの?」
「パンケーキ屋さんにいくのよ」と花子はいった。「わたし、美味しいパンケーキ屋さんを知ってるの」
さあ走れ! といって花子はポンポコサンダーをせかした。
ヒヒーン! ヒヒーン! といななきながらポンポコサンダーは東京を突っ走った。
店についたのは明け方だった。ちょうど開店の時刻だった。
「ついてるわ、ちょうど開店の時刻よ」と花子がいった。
「ずいぶん早くからオープンする店なんだねえ」とぼくは感心していった。「すばらしい店だ」
ヒヒーン、とポンポコサンダーも相づちをうった。
ぼくたちはドアを押して中に入った。
「いらっしゃいませ」と白髪のまざった髪の毛をコック帽にいれたでっぷり腹のおじさんがぼくらをむかえいれてくれた。「どこでも好きなとろこへお座りください」
店は空っぽだった。ぼくと花子と馬は日当たりのいい窓際の席に座った。
「この店はダランベリー・ブルーベルベット・トワイトニックソース・パンケーキが美味しいのよ。みんなそれでいいかしら?」と花子がいった。
「まかせるよ」とぼくはいった。ヒヒーン、と馬もいった。
花子は頭上に腕をたかくのばしてパチンと指を鳴らした。でっぷり腹のおじさんがすぐにやってきた。
「ダランベリー・ブルーベルベット・トワイトニックソース・パンケーキを三つ、お願いします」と花子は注文した。
でっぷり腹のおじさんの手からペンがポロリと落っこちて床をころがった。
「ああ、お客さん……」とでっぷり腹のおじさんはいった。「ダランベリー・ブルーベルベット・トワイトニックソース・パンケーキは作れません……材料切れで」
「あら、そうですか」と花子は残念そうにいった。「ええと、じゃあこのチョコレート・ストロベリー・パンケーキは?」
「……すみません、チョコレート・ストロベリー・パンケーキも作れないんです、材料切れで……」
「あら……」花子の顔がくもる。「じゃあ、キャラメル・バナナ・パンケーキはどうかしら?」
「すみません、キャラメル・バナナ・パンケーキも作れません、材料切れで」
「……じゃあこれは?」花子はメニュー右下を指さした。
「すみません材料が……」