小説

『魔女がもたらすもの』夜月朔夜(『白雪姫』『シンデレラ』『かぐや姫』『ロミオとジュリエット』)

 れーちゃんの苦しみが全て書かれていた。
「謝るべきは、私の方だよ、れーちゃん」
 規則正しくなる心電図計の音が、れーちゃんが目を覚ますまでのカウントダウンに聞こえる。
 ICUの並んだベッドの上に、れーちゃんは眠っている。
 私が救急車で運ばれて処置をされている間に、れーちゃんは学校の屋上から飛び降りたらしい。
 運良く植え込みに落ちたれーちゃんは、私が運ばれた病院に同じく運び込まれた。
 隣同士のベッドに並んでいるのを見た時には、すっごくびっくりした。
 私の方が早く動けるようになってからは、一日中れーちゃんを眺めている。
 時折瞼がピクリと動いている。
 もうすぐ、れーちゃんは眼を覚ます。
 ああ、れーちゃんが無事で、本当に良かった。
 目が覚めたれーちゃんに、一番に会いたい。
 また、一からお友達になろう、れーちゃん。

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