髪が長く、目は切れ長、スッと通った鼻筋、薄すぎず厚すぎない唇、清潔感があり、常にまっすぐに伸びた背筋。完璧な女性。吉永玲子。高校2年生。その容姿端麗な姿は誰が見ても『美人』と言う言葉が出てくる。
特に部活動には入らず、悪い友達とも遊ばず、成績は常にトップクラス。だからと言って人を差別せず、誰に対しても態度を変えない。そう言ったところから男子からも女子からも人気はずば抜けて高い。そんな彼女は今日も静かに窓際の席で読書にいそしんでいる。
「きもい。」
せっかく美しい吉永玲子を見ているのに雑音が入った。振り向くと高岡美雪が眉間にしわを寄せている。
「何だよ。」
邪魔な女だ。中学の時から一緒の女。男子から結構人気らしいが、自分にはただうるさい下品な女にしか見えない。
「あんたさ、玲子ばっかり見てるけどそんなに好きなの?」
「ああ、好きだよ。悪い?」
「やめといた方がいいんじゃない。」
美雪がニヤつきながら忠告してくる。
「なんで?」
「玲子モテるよ。」
「知ってるよ。」
「じゃあさ、玲子の好きな人知ってる?」
一瞬心臓が止まる。吉永の好きな人をこいつは知っているのか?
「知ってんの?っつうかいるの?」
「いるよ。」
「誰!」
前のめりになり美雪に近づく。知りたい。一体誰が好きなんだ。
「ショック受けない?」
「受けない!だから教えて。」
「・・・。」
黙る美雪。何故黙る?気になってしょうがない。
「怒らない?」
ニヤつきながら聞いてくる。こいつは完全に楽しんでいやがる。
「怒らないから早く言えよ。」
「・・・品川君。」
「・・・品川光司か?」
「そう。」