「ど、どちらに――」
「すぐそこ」
僕と女子高生は、暫く住宅街を歩いた。
小学校の前を通ると、いきなり女子高生がフェンスを越えて敷地内に入った。
彼女は僕に「来い」とも「来るな」とも言わなかった。
ただ、物憂いているような感じで、誰もいない校舎を見つめていた。
今なら、逃げる事だって出来そうだ。
しかし僕は、その場の空気に耐えきれず、気付いた時には、フェンスに手を掛けていた。
暗闇を少し歩いた。
給食室の裏だろうか。女子高生が突然立ち止まった。
僕が「これから、一体何をするのか」と訊こうとした瞬間、彼女の唇が――。
翌朝。
僕は制服を着て、いつものように家を出た。
イイ陽気だ。
風が気持ちイイ。
太陽さん、いつもありがとう。
今の僕ならきっと、あの鳥だって捕まえられる。宇宙だって支配出来る。
なんだよ。
自分が変われば、こんなにも世界は変わるのか。
僕は颯爽と、中学の正門をくぐった。
教室に入ると、僕は人生で初めて女子達に「おはよう」と声を掛けた。