三人は啓太を一斉に蹴り飛ばしていた。
「啓太は転落死で決定~」
一応の結果を出したが。
ゾンビの三人はやんややんやとまだ言い合っていた。結果に不満があるんだろう。
翔太はそれを傍目に見ながら真剣に考えた。いや思い出そうとしていた。
死んだ事は覚えているが、どの様に亡くなったか思い出せない。
じっと静かに考え込んだが何一つ思い浮かばない。
悩み抜いて疲れた思考が、心の一言を口から出させていた。
「……何で死んだんだろうな」
思わず出た翔太の言葉だ。
だがその瞬間、騒いでいた三人が黙り込んだ。
静まり返り、えっと翔太は驚いて三人と見合った。彼等はじっと翔太を見つめたままだ。
「えっ……変な事を言った?」
翔太が怖々訊いていた。
「そう、何言ってるのよ」
「いや……皆、何で生き返ったかを知りたいって……」
最初に言葉を返した沙織は顔も声も冷ややかだった。思わず翔太は怯えた。
「僕達はどうやって生き返ったかを知りたいんだ。何でなんて言ってない」
「そうさ。だからどうやって死んだかを推察したんだ。何でなんて言ってやしない」
巧巳も啓太も無表情で冷たく答えた。今間での陽気さが掻き消えている。
「えっ……それじゃ……」
翔太は重い雰囲気に飲まれた。
「私達が何で死んだかって? 貴方に殺されたからじゃない」
「俺達が何で生き返ったかって? ――お前に復讐する為に決まってるだろ!!」
その合図で三人は翔太に一斉に襲いかかった。
狂った様に奇声を発し、尋常ならぬ力で押さえ込まれる。
四肢を掴まれると野犬の如く齧りついて来た。剥き出した歯を肉に無理込みに食い込ませ、そして布に血が滲む。
翔太の情けない悲鳴も彼等の人ならぬ唸り声で掻き消された。
必死に引き剥がそうと暴れるが凄まじい勢いで床に叩きつけられる。
その度に翔太の鮮血が壁に、窓に飛散していった。
肉を食い千切られ。腸を引きずり出され。そこら中が血溜まりとなってゆく。
部位が肉の一片になるまで、彼等は翔太の身体を貪り尽くすのであった。
翔太はそこで目が覚めた。
目前の薄暗い中に、見慣れない天井が有るのが分かる。
じっとりと額から溢れる大粒の汗。