小説

『そして誰もが生き返ってほしかった』洗い熊Q(『クックロビン』)

 この別荘付近の地下には水脈によって出来た空洞が幾つか存在した事を。
 偶然だ。穴を掘り進めた先に、その空洞にぶち当たったのは。

 地響きと供に掘った穴処か、周囲数メートルが陥没した。三体の遺体も供に巻き込んで。
 穴を中心に周囲の土が一気に流れ込む。翔太の悲鳴をも奥底へと落ちって行った。
 土煙を上げ以前とは別物の地形へと変化する、大きな陥没となった。

 もう風の音しか響かなかった。
 雨も降り始めた。大粒のだ。
 ぼたぼたと地面に打ち付ける雨は、崩れ去った土を均していく。
 彼が願った通りだ。何もかもが埋められていくのだった。

 

 
 ――これが今間での経緯です。

 そう土の下にいるのです。

 今は崩れきれなかった空洞部分に僕はいるのです。
 だから今こうして皆さんとお話しできる訳です。

 気付いた時には一日は過ぎてました。それは腕時計で確認を。
 最初は絶望と切望とが入り交じった思いで、必死に助かる方法を考えていたもんです。

 そして二日目、三日目と。
 後悔と供に諦めた思いに。
 もう助からないんだと覚悟した時も有りました。

 四日目、五日目。この辺りで時計も壊れて時間も分からずに。

 でもここで気付いたのです。

 土の下に埋められて飲まず食わず。
 もう五日以上は確実にその状態なのです。それなのに僕はまだ生きているんです。

 あの夢の再現だ。そう思いました。
 僕は生きた屍になったんだ。そう確信得るには十分な事実だと思いませんか?

 え? それじゃあ何で土から這い出て行かない? ゾンビなら何とか成るのではないかと?

 僕もそう思います。
 動けるのなら。

 今、僕の上にはあの三人の遺体袋が重なる様に乗っています。
 丁度、この空洞にきっちり填まり込む感じで。
 三人をどうにか退かすか。
 または動いてくれれば地上へと向かえます。

 皆さんも思いましたね?
 僕がゾンビになら三人もゾンビになったのではないかと?

 ……そうだよ! お前らもそうなってくれよ! このまんま土に還るなんて勘弁してくれ!
 本当はもうなってるんじゃないの!? しばらっくれてんじゃねぇのか!?
 殺した事は死んでも謝るからさ! いやもう死んでるけど!
 だから、だからみんな生き返ってくれ~~!!

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