「うー、うー、うー、う*こ!」-「ノーッ!No!違うよ!」
「えーえーえー、えええーぃっ!もうどうでもいいわ!!」
私は頭がすごくこんがらがってしまった。「今までこんなバカバカしいことに振り回されたことがなかったわ!」
「じゃあだまってなっ!このポンコツめ!」と帽子屋。
まあ、なんて失礼な!それに無神経な言葉遣い!今まで黙ってはいたけれど、もう我慢ならない。さすがに帽子屋の 無礼さかげんには、がまんならぬものがあった。
「こんなにくだらないお茶会、生まれて初めてよぉー!初めてよぉー、初めてよぉー初めてよぉーよぉーよぉーよぉーよぉーよぉーよぉー……」声はこだまし、やがてフェードアウトした。私はここから抜け出そうと、走り出した。でも、よく考えたら、ここは絵本の中。どうやって抜け出したら良いか。
「待ってくれ!」
後ろから追いかけてきたのは、帽子屋だった。
その後ろには三月うさぎとヤマネもいる。
「よく考えたら、お前さんはわたしのことをわかりかけてきたんだ。それなのに、わたしはなんてことを…。許してくれ」帽子屋の目には涙が浮かんでいた。
「わかったわ。とにかく、ここから脱出しなくちゃ!」私は振り返り、叫んだ。
4人は森を駆け抜けた。が、絵本からどうやって抜け出すか、どこに出口があるのか、わからない。
「もしかしたら、この時計を直したら、ここから抜けられるかも」三月うさぎが木の掛け時計を指差した。すると、勝手に時計の針が動き出した。と同時に、周りの背景も移り変わり、まるで、逆戻りボタンを押したみたいに、4人の体は無意識に後ろ向きに動き始めた。ヤマネの三姉妹の物語、帽子屋のなぞなぞ、私がテーブルに着こうとしているシーンへと逆回転。
どんどん逆戻りしていく。動きは徐々に加速し、さらに速さを増した。目も開けていられないくらい、凄いスピードだった。ゴォーッという音とともに風が吹き、渦を巻いた。ついには、竜巻が起こった。私の体は上へ上へと竜巻の渦に巻き込まれ、ぐるぐる回った。まるで、乾燥機のように回った。何回転しただろうか?頂点に達したところで、一瞬止まった。今度は、下へ下へと急降下。まるでスカイダイビングまたはバンジージャンプ。
ドンッ!(crash!)