私はそういうふうにしか聞けないのだ。
彼女はテーブルの上にあったメモ帳に視線を移して「次は一千万年後かもしれない」と言った。
「そうか」と私はその冗談なのかもよく分からない言葉に笑う。「もう会わなくてもきみのことは忘れないと思うよ」
私にとってその言葉が精一杯だった。
「私もきっと忘れない。二週間前に出会った男の子が再会したら年上になっていて、その人に海辺で救助されてシャワーを借りてお酒をご馳走になることはあまりないことだから。もし次に私が行く未来が一千万年後で、その時代で四十年生きたら、あなたのことを一千万四十年忘れない」
私は笑った。嬉しかった。
「少しだけ眠い」と、カーラは言った。「死ぬほど泳いだから」
彼女は一人ベッドに移り、それからすぐに眠ってしまった。私はまだ起きていた。彼女が目を覚ますまでずっと起きているつもりだった。
8
ベッドから起きて、私は部屋の中を見回して彼女のことを探した。浴室も確かめた。彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
すべて夢のことだった、と理解できていたが、目が覚めてからしばらく私は余韻にひたり、昨夜のことを一つ酷く後悔していた。なぜ彼女に、一緒についていきたい、と言えなかったのか。言っていれば私の人生の何もかもが変わっていたようにさえ思えた。それが夢だったとしても。
とにかく自分を責めた。なぜ、それが言えなかったのか。そのドアは開きかけていたのに。
テーブルの上のメモ紙に目が留まった。「10,000,000」という数字が書かれたメモ紙だ。しかしそのときは、誰かに加筆されてこう書かれてあった。
「10,000,000と40年愛す」