小説

『神、再び来たりて』十六夜博士(『ヤマタノオロチ』)

 俺はこれまで使ったことがないくらい頭を使って考えていた。だが、全く対策が出てこない……
 すると、手詰まりで焦っている俺に、クシナダちゃんは何かを差し出した。
「これを使ってください」
 それは、俺がコロニーの博物館で昔見た、人類古来の武器、金属でできた刀だった。
「こんな昔の武器じゃ……」
 俺が疑念を口にすると、クシナダちゃんは語気を強め言った。
「これは、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と言う聖剣です。ヤマタノオロチだって切ることが出来ます!」
 俺はクシナダちゃんの強気な態度にちょっと驚きつつも、(キツイ顔も、可愛いなぁ……)と、此の期に及んで邪念が浮かべた。
(いかん、いかん!)
 邪念を振り払い、「わかった」と短く言うと、俺は剣を受け取った。とにかく、できることは何でもやろうと考えた。
 そして、ヤマタノオロチに向き直る。ヤマタノオロチは、まだ悶絶している。
(今しかない……)
 俺は、狙いを定めると、思い切り跳躍し、一つの首めがけて、草薙剣を振り下ろした。
 ドウッ!
 地面を揺るがす大音響を立て、ヤマタノオロチの首が一つ地面に落ちた。
(すげぇ切れ味……)
 俺は、草薙剣の切れ味に震撼した。
 だが、感心している暇はない。俺は、次々にヤマタノオロチの首めがけて、草薙剣を振り下ろしていった。
 二つ……三つ……四つ……
 一つ数えるごとに、ドウッという大音響が地面を揺らした。
 ……
 そして、八つ!
 ドウッ!
 最後の頭が地面を揺らした。
 俺はヤマタノオロチの全ての首を切り落とした。
 ハァ、ハァ、ハァ……
 地面に跪いたまま、俺は必死に呼吸を整える。
(きついな…)
 俺は、草薙剣で体を支え、何とか立ちあがる。
(イテテテッ……)

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