小説

『欲しいの因果』相原ふじ(『星の銀貨』)

 たしかに腹も立つよなあ。ウインナーおばちゃんの気持ちも分かる。

 「ほしいです」
 私がやっとそう言うと、おばちゃんはあきれたような顔をして楊枝を渡してくれた。
 自制心と自尊心を投げ打った女児の頭上にはひとまず、串刺しのウインナーのかけらが降りてきたのだ。

 バリッ。おいしい。
 ニュースは終わってバラエティ番組が始まっている。
 まあでも、たぶんたまに救いはあったりする。いつかなにもなかったみたいになっちゃうとしてもだ。

 最後の一本をつまみ上げて呟く。
 「欲しいです」
 言うだけ言ってみたら、どうでしょう。

 何を投げ打ったら、さえない女子大生の頭上に甘い言葉が降ってきたりするのでしょう。

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