小説

『デジャヴ殺人事件』aoto(『赤ずきん』)

「私が選んだのよ」
 少女は呟く。
「あとで一緒にフランスパンを食べましょう。私がワインを注いであげるわ。ねえ、花びらを一枚浮かべたらどうかしら? きっと、見栄えがよくなるわ」
 少女は祖母に声かける。

 少女は携帯電話を使って母に連絡をした。
 まもなく、医師と刑事と母がやってくる。
 死因は毒による中毒症状。花瓶とワインの入ったグラスとフランスパンの三つから、それぞれ毒が検出されることになる。
 この結末も私のデジャヴの一つになればいいのに。
 少女は淡い期待を抱きつつ、その場に倒れ込む。

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