小説

『ミサキ・マサキ』和織(『ウィリアム・ウィルスン』『不思議の国のアリス』)

「じゃあこれでさよならだ」
 チシャ猫が言った。
「・・・うん」
「一度だけでいいから」
「わかってる。必ず会いにいく」
「ありがとう」
「長い付き合いじゃん」
 僕がそう言うと、それは三日月形の口元を残して消えて行った。

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