「違います。この惑星の外から来たのですよ。この宇宙には、この星と同様、生物の住む星がいっぱいあるのです。どの星の皆さんも、知能がある程度高まりますと、自分の星の外へと飛び出します。そうして宇宙へ進出した知的生命体同士が、互いの利権を損なわない為に加入しているのが銀河連邦なのです」
「ま、まさか。君たちは地球人じゃないと言うのかね?」
アール氏は声を引きつらせた。
「そう言う事です。信じてくれませんか?この星の科学のレベルなら、他天体に生物がいる可能性はすでに既成事実として認識していると思ったのですが」
「い、いや、宇宙人の存在を信じていない訳じゃないよ。しかし、いきなり、君たちが宇宙人だと言われても・・・」
アール氏が口ごもった。
すると、若者たちの一人がパチンと指を弾いた。
途端に、大統領の大きな図体が宙に舞い上がったのだった。大統領は声にならない悲鳴をあげた。アール氏の方も、あっけにとられて、目を見開いた。
すぐに大統領の体は床に降りてきたのだが、おののいた大統領は慌ててアール氏のそばに駆け寄った。
「き、君、この人たちの言っている事は本当だよ!今のは、彼らの超能力だ。これから、一体どうしたらいいのかね?」
大統領はすっかり狼狽していたが、それはアール氏にしても同じだった。
「わ、分かった。あなたたちが宇宙人である事を認めましょう。しかし、ここへは何の目的で訪れたのです?」
アール氏は、自分の動揺を相手に悟られないように気を付けながら、若者たちに訊ねてみた。
「手短にお話しますと、現在、銀河連邦では、この星にも銀河連邦に加入してもらうかどうかの検討中でしてね。だって、この星のあなたたちも勝手に宇宙への進出を始めちゃっているでしょう?しかし、星の外へ出た以上は、お互いの星の利権を損なわない為のルールを守り、その手続きとして、必ず銀河連邦に参加してもらわなくてはいけません」