小説

『座布団』村崎香(田山花袋『蒲団』)

 次に俺は、彼女がパソコンをつないでいたコンセントに手をかけた。掃除機の簡易版のような、電気式の布団クリーナーは、布に残っている皮脂の欠片なども全て吸い取ってくれる。これで洗濯したのと同じような効果を出すことで、彼女の痕跡を全て消してしまうつもりだった。
 光を照射しながら、彼女の最後の欠片をゴミのように吸い取りながら、俺は泣いていた。

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