へぇ、と言いながら歩いていた博隆の足が止まった。
先を歩く瑛子は、英美に、おいしいもの食べれると思うと幸せよねぇ、と言いながら振り返った。ん、とだけ返事をする博隆より先に、瑛子と英美は店のドアを開けた。店内の生温い空気がやわらかく肌を撫でる。
博隆はドアに手をかけながら、店の向こうに、見覚えのある建って間もないマンションがブルーに光っているのを見つけた。真唯子の姿を思い、店の入り口のレジで住所が書かれているものカードをポケットに入れた。
三人の心は、だんだんそれぞれの手ぬるい淡い快感に満足しなくなって、もっと色彩の濃い、血だらけな歓楽を求めるように傾きはじめていた。