「惜しい! 見るのは全然普通で、別にエロいことしてるわけじゃなかったんだけど、終わってから個別もやってるよみたいの来てさ、よく聞いたらすげーよく出来たシステムなの。なんか女の子侮れないって思った」
「個別で脱いだりしてるんでしょ。でも俊そういうのでもいいじゃん、脱がなくても話しできたらいんでしょ? 女の子も喜ぶよそれなら」
ポッキーを1本俊に差し出すと、いい、という仕草をしたのでまた英美が食べる。
「それが!ちがうんだなこれが。個別で時間測ってるらしくてさ、何かしてとかちょっと脱いでとかだとお金取ってるらしいんだけど、それがお金じゃないんだわ」
「うん?」
「通販サイトとかスマホで使えるギフト券でちょうだいって感じだったんだよ。ギフト用に視聴者が購入して、そのコードを教えるとその子が買い物できるんだって。なんか前流行ったライン乗っ取りの仕組みみたいだった。でも払うとかの感覚じゃなくて、プレゼントって感じらしい。すごいよく出来てて、こういうの思いつくのって絶対悪い大人だよなぁって思った」
「わっかんないよー、案外かわいい女の子が思いついて広まったのかも」
「えーだったら世の中の女の子って俺には怖すぎ」
弱すぎ、と英美はポッキーの袋をくしゃっとしてゴミ箱に入れた。
「俊くん、そう言いながらなんでここに来てお金払うのよ」
英美が言うと、俊は、なんで? という顔をした。
「会社でも家でも友達でも恋愛でもなく会えるってすごいと思うんだけど」
あー、と英美が天井を見ながら言うと、でしょ? と俊が子供みたいに楽しそうに笑った。
「えみえみもそうなんじゃないの? 見た目を気にする普通の女子高生で家も友達も学校も普通にまぁうまくいってて、でもなんかそうじゃない自分っていうのでここに行き着いてるんじゃないの?」