小説

『Grimm and Charles』ナカタシュウヘイ(『不思議の国のアリス 赤ずきんちゃん』)

 さて、ここで何か届けられたようで、布告役の赤ずきんのお祖母さんはそれを王様たちに見せました。宜しいと王様達は頷きました。
 赤ずきんのお祖母さんは狩人が有罪だと示す証拠である、狩人の部屋から見つかったという別の国の言葉で書かれた詩を読み上げました。王様達はそれに頷き、何かを書き取りました。アリスはそれらを見て、何かを感じ取りました。そしてそれは予想通りと言うべきで、狩人が有罪の判決を受けるということを証明する事書きだったのです。
 こんな裁判は馬鹿げているとアリスは非難を始めて、赤ずきん、それからハートのジャックも続きました。しかしアリスには何も起きません。あの夢の続きにはなりません。何だか夢を見ていないようです。
 それから狩人は死刑宣告を受け、グリフォンや王に使える裁判実行役である官人たちに連れられて、絞首刑台の中心で止められました。まるで犬に首輪をつけるように、その輪はきゅっと狩人の首に締め付けられました。一通り、狩人の罪状が読み上げられ、ここにその実行を移すものとすると官人は告げます。何か大きな音がして、その後、その数分間の言葉はずっと、狩人の声が聞こえていました。やがて何も聞こえなくなりました。
 しかしアリス、赤ずきん、ハートのジャックはその光景を見たことをよく覚えてはいませんでした。だからこの最後の風景が果たして自分たちでさも思いついたものなのか、はたまた何かの幻想なのかも、わからなくなっていました。
 でもそれでも、その夜の月が、とてもとても歪んでいたことだけは二人ともしっかりと覚えていたのです。それから微睡むような甘い香りがして、二人は眼を覚ましました。 
それでこの物語は終わるのです。

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