小説

『特異体質』小野塚一成(『ピノキオ』)

 ほどなくして男性陣も到着。うん、なかなか良いではないか。彼らをそれぞれ解説すると、まずは今回レイちゃんの男友達で幹事をしてくれるショウタさん(背が高くて所謂シュッとしている感じ、メガネがお洒落、なかなかのイケメン)、その友達でレイちゃんとも顔見知りのユウキさん(シンプルな着こなしだけど一番お洒落を分かっていそうな感じ、彫りが深くて鼻が高い、でも少し無愛想な感じ)、二人の高校時代の後輩のタクヤさん(短髪でガタイが良い、体育会系な感じでほかの二人とはややタイプが違う)。
 合コンの目的は、レイちゃんがショウタさんと仲良くなりたかっただけ、というのがレイちゃんの様子からなんとなく事前に分かっていたので、とりあえずショウタさんとの会話はそこそこに、私とユキは他の二人とのお話をメインに進めることにした。結果、ユキの頑張りや気配りもあり、かなり盛り上がり、二次会で行ったカラオケもとても楽しく、各々携帯の番号もメアドも交換して大成功に終わった。私も実際楽しかった上にお酒の勢いもあり、ついついはしゃいで本音を何度も口に出してしまい、部屋に帰って鏡を見てみたら明らかに鼻が高くなっていた。
 その後、レイちゃんはショウタさんと良い感じで、ユキも恋愛感情を抱いたり抱かれたりはしないものの、異性の知り合いが出来て嬉しそうだった。で、私なのだが、ヤバいのである。本気になってしまったのかもしれないのである。いや、ヤバくはない。もともと良い人を見つけたかったのだから、逆にありがた過ぎるくらいなのだ。しかし、やっぱり実際本気になると少し怖気づいてしまう。別にかわいい女を演出したいわけではない。ただただ心から心配になってしまうのだ。メールを送ってうっとうしく思われたりしないだろうか、ちょっとしたきっかけで嫌われたりしないだろううか、彼女はいないと言っていたが本当だろうか、本当だとしても、こうしている間にも彼女が出来てしまうのではないだろうか、そしてなによりも私を受け入れてくれるかどうか。
 隠していても仕方ないので早々に打ち明けしまうが、私が好意を持った相手は、ショウタさんの友達のユウキさんだ。彼がまた良いのである。まず、何がどうというわけでもないのににじみ出るお洒落な雰囲気。そして表情を変えずに変に面白いことを言ったりするところ。さらに読書や映画が趣味だったり、聴く音楽の好みだったり、好きなお笑い芸人の傾向だったり、もう全てがストライクなのだ。

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