ツイート テイレシアスは己の良心と恋をしばらく戦わせたが、結局まさったのは、恋の方だった。自分を差し置いて、顔も知らぬ美少年に耽溺する神に、せめてもの報いを受けさせてやりたいという、暗夜よりもなお暗い瞋恚の炎を消すことなど、不可能であった。 テイレシアスは長い沈黙を破ると、不安そうに彼の言葉を待っている母親に対し、短くいらえた。 「『汝自身を知れ』。さすれば、長く平穏な人生が保たれるであろう」 テイレシアスは太陽神に、ささやかな意趣返しをしたのであった。 7/7 前のページ 7月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5 6 7