小説

『長靴に入った猫』卯月イツカ(『長靴をはいた猫』)

「今のは変な意味じゃなくて」

 しどろもどろで言い訳をすると、彼女は冗談っぽく「ほんまですかぁ」と、笑いながら突っ込んだ。コミュニケーション能力の高い人なのだろう。気まずい雰囲気を払しょくしてくれたことに安堵する。

思えば、こういうやりとりを他人とするのは、随分久しぶりだ。それはまるで、猫を撫でたときの心地よさに似ていた。
 

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