「これはこれは、立派なお家にお住まいですね」呂端(ろばた)は腕を組み、感心した様子で、うなずいた。犬川も猫柳(ねこやなぎ)も目を丸くして鳥山の家を眺めた。
「ありがとうございます。ずいぶん前にローンで購入しました。一応、ローンの返済は終わっていますけどね」続いて、
「まあ、田舎ですから、普通に働いていたら、あれぐらいの家は購入できますよ。いつかお嫁さんをもらって住めるようにと、購入しましたが、まぁ・・・、このままの状態でございます。ははは・・・」と、鳥山が恥ずかしそうに顔を赤らめてぽつりと言った。
「あ、でも・・・」鳥山は眉をひそめた。
「何です?どうしたのですか?」犬川がたずねた。
「確か・・・、部屋の電気は消したままで出かけたはずです。なのに、何で明かりが煌々とついているのでしょう?」
「え!まさか!」と、犬川。
「ど、ど、どろぼう?」猫柳(ねこやなぎ)が目を丸くして叫んだ。
「そ、その、まさかですよ!」
「とりあえず、家の方へ行って様子を見てみましょう」呂端(ろばた)が言った。
四人は、様子を確認するためにさらに先へと進んでいった。そして、家の前まで到着した。呂端(ろばた)が家の窓に駆け寄った。そして、そ〜っと中を覗いた。あとの三人は重なるように呂端(ろばた)にもたれかけた。
犬川がたずねた。
「呂端(ろばた)さん、何が見えますか?」
「何が見えるかって?何だかテーブルの上に、豪華な料理や飲み物、ワインとか酒とか、そういうものが見えますよ」
と言うや否や、こう付け加えた。
「あ〜あ〜、よく見ると、誰かがいますね。二,三人います」
「ちょっと見せてください。知り合いかもしれません」と、一番後ろにいた鳥山があとの二人を押しのけて、呂端(ろばた)の前にやって来た。
「いやぁ、三人とも知らない人たちですねぇ。何だかガラが悪そうですな。あ〜っ!私のジョニーウォーカーを全部空けちゃってますよぉ!」鳥山はほぼ半分泣き状態だった。
「じゃ、あの三人は不法侵入者じゃないですか!」後ろへ追いやられた呂端(ろばた)がまたあとの二人をかき分けながら、言った。
不法侵入者の一人は、太っていて、貫禄があり、顔の周りはひげだらけで、怖げな感じの様相だった。腕には錨模様の黒い入れ墨があり、ボンレスハムみたいで、ニョキニョキッと黒いTシャツの袖から出ていた。あとの二人のうち、一人はやせていて、出っ歯だった。もう一人は、小太りで、食べるだけが取り柄というような、いかにも鈍そうな感じの男だった。
「確かにこの辺も、会社や店が倒産し、この街から人が離れてしまって、人通りも少ないし、空き巣には入られやすいのかも・・・」呂端(ろばた)が言った。
猫柳(ねこやなぎ)が一番後ろからつま先立ちをし、背伸びをしながら、
「どうやってあの不法侵入のやつらを追い出しますか?」