十二月八日
ジュディが大学のダンス・パーティにジミー・マクブライトを招待し、一緒に踊ったらしい。ジャーヴィスは手紙を破り捨てたい衝動に駆られた。
十二月十五日
ジャーヴィスはジュディへのクリスマスプレゼントを送り終えたところだった。
毛皮、リバティのスカーフ、手袋、本、ハンドバック。ジャーヴィスはどれも一流のお店で金を惜しみなく注ぎ込み買い求めた。
ジュディは一体誰のおかげで孤児院から出て今の生活ができるようになったと思っているのか。それを思い出させなければならない。
四月二十四日
ジャーヴィスは、ジュディやジュリアに内緒で大学を訪れた。たまにはこのような突然の訪問もいいかもしれないと思ったのだ。しかしそれは大失敗だった。
ジャーヴィスに会うやいなや、ジュディ達はこれからプリンストン大学のダンス・パーティに出かけるから時間がない、と言い出したのだ。ジミーに会いに行くのだ。彼女達は挨拶もそこそこに、いそいそと出かけて行った。
ジミー・マクブライト、ジュディのそばにはいつもあの男がいる。
七月五日
机の上に、見慣れない封筒が一通置いてある。ジャーヴィス・ペンドルトンはそれを読み、顔をしかめた。
ジニーからの手紙だった。ジニーとは、つい最近まで交際していた女性のうちの一人で、所謂お嬢様といったタイプの女性だった。美人だったが、どこにでもいる美人というレベルで、結婚して常に隣に飾っておきたいとは思わない。
ジャーヴィスはもうしばらくしたらジュディと結婚したいと真剣に考えていたため、後々禍根が残らないよう、ここ最近綺麗に女性の整理をしたのだった。ジニーは整理された女性の一人である。付き合っていたときはお嬢様で上品な印象が強かった彼女だが、手紙からはその印象はかけらも感じられなかった。
彼女はジャーヴィスと結婚したいと思っていたようだ。彼もそれは薄々感じていて、決して結婚という単語や二人の未来の家庭を匂わすようなことは発言しないように努めていたが、無意味だったらしい。
ジニーは彼の過去の女性関係や、ジュディ・アボットに援助していること、最近ジュディと会っていることを、探偵を使って調べ上げていた。証拠の写真も添付されており、言い逃れはとてもできそうにない。ジニーと結婚するか、ジュディ・アボットに彼の女性関係を暴露されるか、二つに一つだとジニーは書いている。どちらも最悪だ。