一月二日
ジュディからの手紙を読み、ジャーヴィス・ペンドルトンは激しく動揺していた。彼女からの手紙でそのような気持ちになることは今までなかった。
彼女はクリスマス休暇を一番の友人であるサリーの家、マクブライト家で過ごしている。そこでサリーの兄、ジミー・マクブライドと親密になっていたのだ。背が高くて、ハンサムで、プリンストン大学の三年生だということだ。なんという鬱陶しい兄なのだろう。休暇の間中、この邪魔な男がずっとジュディにくっついていたかと思うと、苦々しい気分になる。しかも、ジュディは生まれて初めてのダンスでジミーと踊ったらしい。それを彼女は、「文句なしの最高の幸福」等とふざけたことを書き記している。
これは何か対策を講じなければならないかもしれない、と彼は考えた。
一月八日
ジャーヴィスはプレゼントのチョコレート二キロを持って大学の寮に行き、ジュディ達を訪ねた。
ジュディ、ジュリア、サリーの三人全員が部屋にいた。若い女の子三人に囲まれてお茶を飲みながらたわいもない話をするのは、とても気分が良かった。ジャーヴィスはジュディとサリーの間に座った。ジュディの美しさにはかなわないが、サリーもなかなかの美人だった。ジャーヴィスはついいつもの性でサリーにも甘い言葉をかけそうになったが、大本命の親友なので自重した。
三月二十日
ジャーヴィスは、ジュディ、ジュリア、サリー宛に、ニューヨークで行われるハムレットの鑑賞招待券をプレゼントした。彼女達はシェイクスピアの授業でそれを習っていたので、大いに楽しんでくれることだろう。ジュディとサリーにはニューヨークのホテル宿泊も予約してある。
勿論ジャーヴィスもジュリアの叔父という特権を生かして、ハムレットの鑑賞に同行する予定だ。プレゼントの花束を贈ることも忘れてはならない。
六月四日
ジュディが夏休みにマクブライド家に招待されている。彼女はどうしても行きたいと主張している。
しかし彼女を行かせるわけにはいかない。マクブライト家へ行ったら、またジミーと二人きりで過ごすはずだ。そんなことは耐えられない。
ジャーヴィスは彼女の要望を無視して、今年の夏もロック・ウィロウ農場へ行く手配を進めた。
六月七日
ジュディから、またしてもマクブライト家に行きたいという手紙が送られてきた。彼女がどれほど望もうが許すわけにはいかない、と彼は再度ジュディの要望を無視した。