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『ツナガリタイ』室市雅則

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 土曜日の昼下がり。
 何故だか無性にツナガリタイと思った。
 『思った』では足りない。それは『衝動』と称した方が正しいくらいだった。
 しと降る雨のせいだろうか。しかし、俺には繋がる相手がいない。
 しかも、繋がれれば誰でも良いというわけではなくて、可能であれば女性方面をと願って、携帯電話の電話帳を眺めても繋がってくれそうな人物は見当たらない。幸か不幸か男性方面にも見当たらない。
 誤解して欲しくないのだが、決して、下心に突き動かされているわけではない。もちろん、常在戦場ではあり、据え膳食わぬは男の恥であることは忘れていない。だが、それが全てではなく、欲しているものはビールを片手に、枝豆でも摘みながら『美味しいね』と他愛もない会話を交わすような何気ない温もりなのだ。
 であれば、繁華街に向かい、少し露出度の高い女性が隣に座ってお酌をしてくれる店で数千円を支払えば実現可能だ。しかし、それはあくまで当座のもの、仮初めのものだから食指が伸びない。
 俺はネットで『繋がりたい』とだけ入力をし、検索をした。
 『ハッシュタグ#繋がりたい』という結果が一番先頭に現れた。同じように繋がりたいと感じている人が多くいるらしく、その思いが溢れていた。たぎる思いを抱くのは、世界にたった一人だけではないことが分かり、少しだけ安心をした。

 検索結果を読み進めていくと『イマ、ツナガロウ』という名のサイトを見つけた。
 『今』と『繋がろう』は、まさにドンピシャワードだ。
 詳しく読み進めると、サイトの名前の通り、本日開催される『繋がり』を作るための会合の開催情報が掲載されていた。
 近場で行われていないか確認をするが、全て予約満了となっていた。大盛況なようだ。今頃、どこかの誰かと誰かが繋がっていると思うととても羨ましく感じ、さらに俺のツナガリタイ度が上昇した。
 他の地域の情報を眺めると、大阪・なんば会場に残り一席の表示があった。
 こ、これは。
『行けよ、繋がっちゃいなよ』という神の思し召しではなかろうか。今までの人生で、神様はあまり微笑んでくれていなかったのも、この日のためなのか……。
 そうなると話は早い。
 三時間後には、新大阪の駅にいた。
 初めての大阪。
 これまで関西出身の友人や知り合いから関西弁を聞いたことがあったが、どこを向いても、耳に入ってくる環境は新鮮だ。
 会の開始まで時間があるので、ホテルへのチェックインを先に済ませることにした。
 御堂筋線で心斎橋に降り立った。めちゃくちゃ人がいる。大都会だ。でも、聞こえてくるのは関西弁や外国語ばかりだから、くらっとして、一体、自分がどこにいるのか分からなくなりかけた。

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