久しぶりに会った未来と千鶴は、いつもと違ってなんだかきらきらと輝いて見えた。さらにふんわりと優しい香りが漂っていて、女である私が見惚れてしまうくらいだった。
「ちょっと小牧、合コンなんだからもっと気合入れた格好で来なきゃだめだよ」
そう言って笑う二人を見て、私はもうこの二人とは住む世界が違うんだと実感した。
幼稚園から高校までずっといっしょだった私たち三人だが、未来は法学部、千鶴は経済学部と文系の道を進んだ。対して私は農学部に進学。高校二年で文理選択をする際にクラスがわかれることが決定した。
進学した大学も私は地元、二人は東京。その時から頻繁には会えなくなり、なんとなく疎遠になってしまった。それでも就職の際に二人とも地元に帰ってきたから、また昔みたいに三人で会えたら嬉しいなと思っていたはずだったのに。
『小牧、元気にしてる? 今度久しぶりに会おうよ!』
未来からそう連絡があったときは飛び上がるほど喜んだことは記憶に新しい。『千鶴にも連絡するから、予定教えて』と続く文章を読めば嬉しい気持ちが倍増だ。
また昔みたいに三人で顔を合わせられる、と思いすぐにスケジュールをチェックして未来に予定を返信した。
また連絡するから、と一旦やり取りが途絶えると、私は次の連絡が来るのをわくわくしながら待っていた。だから、未来から後日届いたメッセージには、呆然とせずにはいられなかった。
『九月の秋分の日、合コンセッティングしたよ。五対五ですることになったんだけど、場所は――』
合コン? なにそれ、聞いてない。五対五って、それ他に誰が来るの?
聞きたいことはたくさんあった。だけど、今更断れない決定事項だということが文章の端々から伝わってきた。そして、ようやくたどり着いた最後の文章に、私は大きな衝撃を受けた。
『合コン、やったことあるよね? いつも通りにしとけば大丈夫だから!』
私、合コンなんて、一度も行ったことない。
だからどんな格好をして行けばいいのかなんてことは全くわからなかった。白いブラウスにチェック柄のスカートはこんなにも地味だったのか、と目の前の未来と千鶴を見て愕然とする。二人は黒、ストライプとタイプは違うけどワンピースで決めていた。場違いだ、と思った時には遅かった。
「あ、みんなそろったね」
そう言って近寄ってきたのは髪をシニヨンにまとめてピンクのニットをまとった宏美さんと、レースのスカートを上品に着こなしているなおさんだった。
「初めまして。あなたが小牧桃さん? 桃って呼んでいい?」
帰りたい、と思った。でも、その気持ちを隠すようにぐっと拳を握った。
「初めまして。私のことは小牧って呼んで。みんなそう呼ぶから」
大丈夫、きちんと笑えてたはず。