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『ホテルAI』渡辺鷹志

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「え、明日からですか? わかりました……」
 上司からの命令だ。明日から急遽出張に行ってくれだって? 勘弁してくれよ。今から準備しろっていうのか……
 俺はどこにでもある普通の会社に勤める、自分で言うのもなんだがごく普通のサラリーマン。仕事が出来てどんどん出世するというタイプではないが、使えないお荷物社員というわけでもない。おそらく上からは、文句を言わずに命令通りにそこそこ働く奴……きっと、こんな風に評価されているのだろう。
 だから、今回のように急な出張なんかもよく頼まれる。まあ、仕事も頼まれないようになるよりはいいのだが。
しかし、よりにもよって明日からとは。明日からは世間では連休に入る。そんなときにデスクワークならともかく、出張とは。しかも、行き先は観光地としても有名な場所だ。今からホテルの予約なんて取れるのか?

 俺はインターネットであらゆるサイトを調べてホテルの空きを探した。しかし、連休前日に簡単に空いている部屋なんて見つかるはずがない。めちゃくちゃ値段の高い高級リゾートホテルに空きがあったが、そんなところに泊まれるはずもない。駅からかなり離れている、設備が古い、朝食がない、といったホテルもちらほら空きがあった。そのぐらいは我慢しようと思ったが、すべて一泊しか空いていない。今回は数日間は滞在するので、できれば同じホテルに泊まり続けたい。
 パソコンの画面を見続けていたら疲れてきた。少し休憩するか。と思って休憩室に行くと、ソファに俺がまさに明日から出張に行く先の観光ガイドブックが置いてあった。誰だ、こんなのを持ってきたのは。こっちがこれから出張するというのに休みの計画かよ。のんきなもんだなあ。
 ガイドブックを手に取って、適当にページをめくってみる。へえ、こんな観光スポットがあるんだ。ま、仕事で行く俺には関係ないな。おっ、ホテルも載っているな。さっき、パソコンで探したホテルもある。予約でいっぱいだったんだよなあ。
「ホテルAI?」
 あるホテルを見つけて俺の手が止まる。ネットには載っていなかったホテルだ。ホテルAI? AIってことはよほど最新式のホテルとかなのか? でも、電話番号はあるけどネットのアドレスも載っていないな。AIって名前なのにどうしてだ。まあ、いい。ダメもとで電話してみるか。俺はホテルAIに電話をした。電話がつながる。明日から数日間の空き状況を聞いてみたら大丈夫とのことだった。俺はすぐに予約を入れた。
「ホテルAIか。ひょっとしてネットに載せていないのもわざとかもな。近未来を体験できるようホテルだぞ、きっと」
 嫌々行く出張だったが、ひとつ楽しみができた。

 翌日、出張先で打ち合わせを終えた俺は、夕方にホテルAIに到着した。
「ここがホテルAIか……」
 見た目はこじんまりとした普通のビジネスホテルといった感じだ。AIを感じさせるものは何もない。とりあえず、中に入ってみよう。
 中に入ると、入り口からすぐのところにホテルの従業員と思われる1人の男性が立っていた。長身のためひと際目立つ。
 外見も印象的で、髪をオールバックにして、立派な口ひげを生やして、高級なのか安物なのかわからないがとにかく派手なスーツを着込んでいた。年齢は30代とも50代ともいえる。そして、その外見にはあまり似合わない(?)満面の笑みを浮かべてじっとこっちを見ている。ひと言で言えば、とにかくインパクトがある人物だった。
何とも言えない男性の雰囲気に思わず後ずさりしてしまう。

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