『まんじゅうこわい』
香久山ゆみ
(『まんじゅうこわい』)
まんじゅうこわい。人間は、もっとこわい。
『昼下がりの空き部屋から』
斉藤高谷
(『春の野路から(岩手県)』)
教室を逃げ出し、飛び込んだ空き教室で見つけた誰かの自作漫画。〈わたし〉はつい読みふけって全巻読破してしまう。続きが気になり探していると、声を掛けられる。振り向くと、今読んだ漫画の主人公が立っていた。
『秋の恩返し』
川瀬えいみ
(『信太狐(大阪府)』)
来日したネット友達のジョンと会った太郎。ジョンは、太郎に、『信太狐』や『鶴女房』のように、人間と動物が結ばれる物語を抵抗なく受け入れる日本人の感覚が理解できないと言う。そんなジョンに、謎の日本人美女が問いかける。「私があなたに助けられたトンボの化身だったら、あなたはどうします?」
『白鶴の桜』
宮脇彩
(『鶴の恩返し』)
「身を挺する」こと、「命をかける」ことは、時に誰かを守り、美徳とされることがあります。しかしその行為は、あなたを愛する人が、本当に望むものなのでしょうか。人の優しさに触れた少女が、「恩返し」を通して「愛」を知り、「幸せ」とは何か懸命に考え、生きる物語です。