『夢三夜 流転』
長月竜胆
(『夢十夜』)
第一夜:星空と海の映える崖。「どうして、約束を破ったの?」女は青いバラを残して身を投げる。第二夜:光から闇へと延びるトンネル。「戻ることはできないの」すれ違った少女は光の中へ消える。第三夜:空から降り注ぐ砂の滝。「お墓を作るのに必要でしょう」老婆は砂の川で石を拾い集める。
『ある海と蝋燭の幻想』
酔春
(『赤い蝋燭と人魚』)
幼き日の記憶に促されるまま、私は海沿いの小さな町へとたどり着いた。月明かりの下で思いをはせる。あの美しい海に、そして「人魚」と過ごした日々に。