『爺捨山』
鹿目勘六
(『楢山節考』)
会社を退職した義男は、毎月故郷に帰り幼友達の恵一の教示を受けながら実家や墓、農地等の管理を行っている。その昔話の中で姥捨山のことが話題になる。義男は、その本を読んで自分も家や故郷を捨てて都会に出て来たことを思い知らされ故郷へ戻る決心するが、引き籠り中の息子が気がかりだ。
『教えと旅する女』
秋月秋人
(『押絵と旅する男』江戸川乱歩)
時は就職氷河期、東京。二十四歳コンビニバイト彼氏ナシのリカコは人生を変える旅に出た。電車を乗りつぎどんぶらこ。気付けば暗い無人駅。客は自分と怪しい女のみ。双眼鏡を死んだ娘だと言い張る女にドン引きするリカコ。しかし『覗くと願いが叶う』という言葉に誘われて……?