山手線。すみれはいつも同じ車両に乗る。目線の先には、40絡みの男。顔立ちもスタイルも格別良いというわけではない。でも、すみれは彼と話したくてたまらない。一方、彼が見つめる先にいるのは、セーラー服の女の子だった。
“僕はもうすぐ最愛の母を捨てるのだ。”年老いて足を悪くし、認知症も出てきた母。よく世話をしてくれた妻も限界に。母を施設に送る途中、携帯電話が鳴る。息子が熱湯で大やけどしたという。僕から携帯をとった母は…
夢とともに訪れる尾骶骨まわりの激痛。さらに、首回りにも痛みが。耐えかねた“私”は、整骨院に。怪しげな医者は“幻肢痛”だと告げる。無くなってしまった部位を、脳がまだあると勘違いすることで生じる痛みだという。
浦島太郎の子孫 虎太郎は、父の葬式の後、家を抜け出し浜辺で妙な格好をした女性を助ける。乙姫だという。家までついてきた彼女を祖母は歓待。乙姫は虎太郎に、浦島太郎に渡した玉手箱の秘密を打ち明ける。
紺野芹香、大学四年生。就職活動真っ最中。第一志望は出版業界。これまで自分の手の届く範囲でまずまずの満足を得てきた人生で、今初めてはるか高い所にたわわと実った果実をぎりぎりと見つめていた。
ショキショキ ショキショキ、ショキショキ ショキショキ。右間に暮らす人々と左間の住人が対立する地域。心優しき妖怪 小豆洗いが右間の娘と左間の男性の恋愛成就のために一肌脱ぐ。二人の願いが叶った時…
“おやゆび姫のお話には納得いかないところがあった。どうしておやゆび姫のお母さんは、さらわれたお姫様を必死に探さなかったのか。”ある日、ふらっと家を出た舞衣を、母は一度も連れ戻そうとはしなかった。
浦島太郎をめぐるもう一つの恋の物語。「自分に近しい相手を選びなさい。そうすれば、例え何があっても必ず幸せになることができるのだから。」泣き虫だった母が“私”によく言っていた言葉だった。
両親や親戚がおらず何の財産も持たない、施設で死ぬほど雑用ばかりさせられてきたジュディ・アボット。彼女の大学生活の資金を援助するあしながおじさん。彼の本当の目的は…そして、アボットにも考えが。