大賞
『エチュード』古海カナエ
仕事をクビになった「私」は美容院で仕事について尋ねられ、無職であることを隠すために、自分は役者だと嘘をついてしまう。美容院に通う度に、ありもしない役について語り嘘を重ねていく「私」。些細な見栄で演じ始めた「役者の役」は、少しずつ「私」の人生を変えていった。
MILBON AWARDの各賞は、ご応募をいただきました全885作品のなかから、厳正なる選考の結果、下記の作品に決定いたしました。
大賞受賞者には、賞金30万円が贈られるほか、大賞作品を原作としたショートフィルムが製作されます。また、優秀賞受賞者の2名には賞金10万円が贈られます。
仕事をクビになった「私」は美容院で仕事について尋ねられ、無職であることを隠すために、自分は役者だと嘘をついてしまう。美容院に通う度に、ありもしない役について語り嘘を重ねていく「私」。些細な見栄で演じ始めた「役者の役」は、少しずつ「私」の人生を変えていった。
美容院の日、母はシンデレラのように、育児に追われる日々を抜け出して美しい女性へと変身する。たった数時間の魔法の時間。その魔法を解くのは私たちだ。いつからかその事に後ろめたさを覚えるようになった中学生の私。そんな時、母から美容院に一緒に行こうと誘われて、美容師の川原さんに出会う。
母の介助のために帰省した私は美容室へ行くが、出された雑誌は偶然にも自身が挿絵を手掛けたものだった。美容師との話を通じて、雑誌を母が持ち込んだことや知らない母の一面を私は知る。髪が仕上がる頃には、母にとって美容室がもうひとつの家のような存在だと私は気付き、母の介助に前向きになる。