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『私のささやかで大切な変身』真銅ひろし

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 私はホームページ等を作成する会社で働いている。
 比較的自由な会社で、服装も、髪型も、髪の色もどうしようと文句は言われない。なので私はちょこちょこ髪の色を変えている。
 茶、金、シルバー、緑、ピンク、パープル・・・・。
 始めの頃は色を変えるたびに同僚や上司から珍しがられたが、最近は普通になったのか何も言われなくなった。
 けれど別に感想を言われたくて変えている訳ではないので特にどうということはない。
 それに私が髪色を変えるのにはちゃんと理由がある。

 その時の「こうありたい自分」をイメージして色を変える。

 シルバーなら「アグレッシブ」、緑なら「穏やか」、ピンクなら「奇抜」、と言った感じで。その通りに行動できているかは分からないが、こうする事で新しい気分になれる。

 そして最近また髪色を変えたいと思っている。
 現在は金髪だ。イメージは「自信」。
「あの、予約をお願いしたいんですが。」
 行きつけの美容室に連絡を入れる。今度は濃いブルーにする予定だ。

 今年で30歳。そしてもう5年くらいだろうか、担当の美容師さんを変えていない。担当のお名前は「清水さん」。
「コバルトブルーって言うんですかね、こんな感じでお願いします。」
 参考の写真を見せる。
「分かりました。今度の気分は何ですか?」
 清水さんがにこやかに聞いてくる。
「ええっとね、“冷静”。」
「そのまんまですね。」
「そう、その方が分かりやすいでしょ。」
「分かりました。じゃあ効果が最大限発揮できるように綺麗に入れさせて頂きます。」
清水さんはぺこりと頭をさげる。
「お願いします。」
 私もそれに合わせてぺこりと頭を下げる。

 清水さんは私と同い年の30歳の女性。近所の美容室にフラッと入って担当してくれた時からの付き合いだ。その時はカットのみだったが、その仕上がり具合や会話の相性が合ったので次からも清水さんを指名した。

 そして実は髪を染めるきっかけを与えてくれたのも清水さんだった。

 仕事に失敗して落ち込んで、会社なんて辞めてやろうと思っていた時に「じゃあ気分転換に派手な髪色にでも染めちゃいますか?」と明るく言ってくれた。
「ええ・・・でも、急に変えたら変に思われちゃうかな?」
 その時の私は黒髪で、髪の色を変えようなんて考えてもいなかったので戸惑ってしまった。
「手っ取り早くて結構効果あったりしますよ。もちろん会社的に大丈夫だったらですけど。」
「会社は大丈夫だと思いますけど・・・。」
 一気に変える勇気がなくこの時は染めるのをやめておいた。

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