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               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

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『ハサミが少女の人生を変えた日』高木達也

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ずっと担当していた小学4年生の女の子。久しぶりに来店された彼女は、ずっと俯いたまま笑顔がない。いつもショートヘアで元気な彼女が、伸び切ってボサボサのロングヘアだったのには、当日の暗い表情が全てを物語っていた。
彼女のお母さんから「すごく伸びてしまったのでバッサリカットしてあげて下さい!」とリクエストを受けた。彼女は何一つ表情を変えず俯いたまま。僕は彼女のお母さんのリクエストに応え「いつものような可愛いショートヘアにするね!」と彼女に伝え、シャンプーをアシスタントにお願いした。
「さてと、行くよ〜」彼女の伸び切ったロングヘアを先ずはバッサリカット。続けてハサミをリズミカルにカチカチとカットしてショートヘアに。カット中に話しかけても僕の独り言のような重い空気と時間。「さあ〜、こんな感じの可愛いショートになったよ!」と手鏡を渡して全体を確認してもらう。しかし、彼女は手鏡を持っただけで自分のヘアスタイルには目を向けなかった。「やっぱりショートが似合うね!」と僕は彼女に率直な意見を伝えたが、無反応。お母さんが慌てて「高木さん、ありがとうございます!どう?いいよね?短い方が好きでしょ?」と彼女に言い聞かせるように問いかけながら僕に何度も頭を下げて受付に向かった。
「ありがとうございます!またね!」と僕はお母さんと彼女をお見送りした。
見送る僕の目に映る彼女の背中には、オーラが無かった。
「気に入ってもらえなかったのだろうか?」
「もしかしたらショートにしたくなかったのかな?」
「もっと自分がしたいヘアスタイルがあったのかも?」
その日ずっと僕は彼女のヘアスタイルに対して自問自答していた。しかし、考えても考えても答えが分からなかった。ヘアスタイルも似合っていた。バランスも間違いない。接客の対応も不備は無かったはず。モヤモヤな気持ちのまま、僕はその日の仕事を終えた。
翌日、10時オープンと同時に始まるサロンワーク。いつものように多くのお客さまがご来店される。予約の電話も10時から一気に鳴り始める。フロアのスタッフも、レセプションも慌ただしく動き出す。
そこに一本の電話が・・・。
レセプションスタッフから僕宛に昨日の彼女のお母さんから電話を取り次いで欲しいと・・・
その瞬間僕の頭の中に過ったのは(クレームか?やっぱり昨日の彼女はショートヘアにするのが嫌だったのだ)という、嫌な予感だった。
すぐに保留になってた電話の受話器を取り、僕はお母さんに謝罪した。
「高木です!どうかされましたか?何か不備でも・・・」
焦る気持ちで僕はお母さんに尋ねた。
「高木さん!!違うの・・・本当に・・・ありがとうございました!!」
声を震わせながら涙ながらに僕に訴えかけるお母さんの言葉に驚いた。
「えっ?!どうされました?」
僕は何がなんだか分からない状態でお母さんに尋ねた。

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