「え?」
「何派だった?」
「あ、ウルトラマン……」
「なんで?」
「あ、背、高いですし」
「ああ、デカいよね。あれはデカいと思う」
「相当大きいですよね。あの、初代で40メートルなんですよ。ゾフィと父が45メートル。タロウだと53メートルでこれだと初代のゴジラより大きいんですよ。シンゴジラだと100メートル超えちゃうから話にならないんですけどね。やばいです本当に。ああ、正確には、118.5メートル。牛久大仏とほぼ同じ大きさなんですよ。大仏半端ないって感じなんですけど。そっか! いけない! グレートだと60メートルだわ。あー。まあ、でも、大きければ良いってもんじゃないし、普通のウルトラ怪獣系だと大体50メートル級だから、普段はまあ互角っていうかですね。ソフビとかフィギュアなら構わないんですけど、例えばその、ショーとかで小さいのが出てくるとちょっとがっかりしちゃうっていうか。切ないっていうか。あ……すみません、あの、そういえば、今度、何来るんですか」
「ん? ああ。あれだよ、ヤバイゼ仮面とハヤシタテル」
「え?」
屋上で干からびかけている間に、ヒーローはずいぶん進化をしたらしい。
無人の操作室を時折覗き、タケルは自分がそこに立つことを思う。そうして、「調整中」を外す日を希った。ああ、計測器を持って来ないと。色付きのゴンドラがゆっくりと巻き上げられて天に吸い込まれ、やがて再び戻る。半永久運動を続ける観覧車。N少年もいつかここに辿り着くだろうかと思う。喫煙所に、西川さんが来た。タケルは大きく手を振り駆け寄って観覧車が動くらしいと告げた。
「昔、息子と乗ったわよ。揺れるのよね、あれ」
鼻から煙を吐き出し、西川さんも眩しそうな目でゴンドラを見上げる。田中さんが頷き、おもむろにワイドショットを繰り出して。